スロートレーニングとは


このページは、読売新聞の YIMIURI ONLINE の記事を掲載しています。

 大変分かりやすい説明ですので、掲載しています。その他の情報は上のリンク先でご覧ください。



スローな筋トレ 意外にも効果

心臓の負担を軽減/成長ホルモンの分泌促進

 秋の気配が漂い始めている。「食欲の秋」もいいけれど、ちょっぴり「スポーツの秋」も意識してみてはいかが。
 手軽に行える割には、筋力アップやダイエット効果も大きいと注目される「スロートレーニング」(スロトレ)を紹介しよう。

 ■やり方

 スロートレーニングは名前の通り、ゆっくり(英語でスロー)行う運動のこと。もちろん、ただ単にゆっくりなだけではない。

 例えば、ひざの屈伸運動スクワットの場合=イラスト=。ひざを曲げきったり、伸ばしきったりせず、
 運動の間中ずっと筋肉の緊張を保つ。これが重要なポイントだ。

                         写真

 収縮した筋肉の圧力で血流が制限(血の流れをわざと悪くする)され続けると、
  実際にかけた負荷(重量)以上に、より高い効果が得られるという。

 スロトレは、器具を使った筋力トレーニングのほか、腕立て伏せや腹筋など様々な運動に応用できる。

 どのトレーニングを行う場合も、体や物を持ち上げる動作、下げる動作に、それぞれ約3秒かける。
  上げる動作では息を吐き、下げるときに息を吸う。

 一つの運動を5〜10回を目安に、無理のない範囲で行う。
  筋肉痛が引くのに合わせて、週2回ぐらい行えば、十分だという。

 ■メカニズム

 軽い負荷で効果を上げる秘密は――。
  東大教授の石井直方さん(身体運動科学)によると、カギを握るのは運動後に分泌される成長ホルモンだ。

 成長ホルモンは、子供が大人に成長するときに盛んに分泌されるが、大人になってからも筋肉の強化や脂肪分解などを促進する。

 石井さんらが22歳の男性に行った実験では、スロトレの要領で、いすに座ってひざを伸ばす運動を負荷65キロ(最大筋力の半分以下)で  8回3セット行った場合、運動後の約30分間、血液1リットル中に30マイクロ・グラム前後の成長ホルモンが分泌され続けた。

 これは通常トレーニングで、倍の130キロの負荷をかけた場合と、ほぼ同じ。
  つまり、スロトレでは通常の方法より成長ホルモンの分泌が活発になり、最大筋力の半分の負荷で、
  最大筋力に近い負荷で行ったときと同程度の効果が得られるのだ。

 「筋肉内の血流を制限し続けると、比較的軽めの負荷でも乳酸などの運動に伴って生じる物質が大量にたまり、
 『激しい運動をした』と体は思いこむ。
 
 そして、その信号が脳に送られると、筋肉を修復しようと、成長ホルモンの分泌が活発になる」と石井さん。

  これは、腕や足の付け根をベルトで圧迫することで強制的に血流を制限する加圧トレーニングと同様の原理だ。

 スロトレの利点は第一に、従来の方法より、軽い重量でできるので、関節を痛めにくいこと。

  また、血圧の上昇が少ない分、脳や心臓に負担がかからず事故防止にもつながる。

  さらに成長ホルモンの効果で、新陳代謝が活発になり、長期的に行えば、肌つやにも効果が出てくるという。

 ■スロトレ→有酸素

  脂肪を燃やし、減量したいという人には、ウオーキングなどの有酸素運動との組み合わせが効果的だ。
  そのときのコツは先にスロトレを行うこと。分泌された成長ホルモンの効果で、脂肪分解が進み、
  その後、有酸素運動に移った際に脂肪燃焼効果が大きくなる。
  逆に同じメニューでも、有酸素運動から始めると、脂肪燃焼効果は「ほぼ半減」(石井さん)という。

 ■注意点

 様々な効果のあるスロトレだが、スポーツ選手の場合は、やや注意が必要だ。
  スロトレは、軽い負荷で筋肉を疲れさせるトレーニング法だけに、このクセがついたまま競技に臨むと、
  持てる力を100%競技に向けて発揮できない恐れがある。

  楽に動けるときも、筋肉を疲れさせるスロトレの動きをしてしまい、体力を無駄に使ってしまうからだ。

 ただし、競技に応じた筋肉の使い方を反復練習すれば、この心配はなくなるという。
  石井さんは「スロトレは筋力アップの効果はあるので、その力を効率よく発揮する練習をプラスすれば、
  競技力は上がるはず」と語る。

(2005年9月26日  読売新聞)



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